Livia Rev Artist Review

アーティスト: Livia Rev

ウエブ: 無

試聴:  CDを買うか、youtubeで覗き見

編成:  ガチンコのクラシックピアノ

地域:  パリ

クラシック音楽って、曲目が有名だと演奏者より曲のイメージが先行してしまいがちなんだと思います。それもそうのはずです。昔の作曲家が残した譜面を眺めていると、イヤになるほど表現指示が音符単位で細かく書かれています。この音符はちょっと強め、ここの小節は歌うように、ここからここまでクレッシェンド。ここがはじまり、ここが終わり。ここまではっきりしているんだったら、究極の演奏者はコンピューターなのではと頭をよぎることもありますが、当然ながらそうじゃありません。人間のタッチなくしてはクラシック音楽は絶対成り立ちません。不思議なものです。

要するに、クラシックの演奏者って、持ち味とか個性を発揮する隙間がすごく狭いということになります。いいじゃん音符だけ弾いて演奏は自由に思うようにやれば、という考え方もありますが、それでは曲のアイデンティティが失われてしまいます。新しく出来たものが良いか悪いかは聞き手次第ですが、楽譜に書かれた「意図」が少しでも演奏者の意識から外れた時点で、厳密に言うとG線のアリアはG線のアリアでなくなってしまいます。これは、一応私の意見です。私自身はクラシック演奏者たるものは楽譜にしばられた上でがんばってる方がかっこいいと思っています。みなさんはどうでしょうか?私が、つまらんことを言っているのかもしれません。

さてLivia Revですが、ハンガリー人の94才のおばあさんです。その歳で現役プロであること自体が彼女の化け物っぷりを匂わせますが、私はこの人のプレイが大好きです。下手に語れませんが、彼女のライトタッチが絶妙、それに尽きるのだと思います。クロード・ドビュッシーのベルガマスク組曲の、「月の光」。この演奏を聴いたとき、あまりにも有名な曲ですが僕の中では新しい生き物として生まれ変わりました。いや、ちがうかな。先ほどの話に戻りますがまぎれもなく「月の光」だったのですが、見事に彼女の個性が「乗った」「月の光」でした。

ご参考まで、youtubeをはっておきます。

http://jp.youtube.com/watch?v=rMw_AY6w4dk

2009/1/23 ヒケ