あとがき〜Black Box Broadcast Vol.11

11回目を迎えたBlackBox Broadcast、今回は諸事情により舞台を小田急沿線は梅ヶ丘に移しての開催となりましたが、まさに”当たり”でしたね。駅から近くなったとか、部屋が広くなったとかそういうことだけではなくて、何より不慣れな場所での収拾のつかなさ、一体開場1時間前になってもそれはこっちか、あれはあっちだろうとか、やれ音が出ないだとか、そもそも統率の取れたチームワークなど持ち合わせていないblackboxの面々が、慌てふためくでもなくあっちを押したりこっちを引いたり、結果でき上がった特設会場は一体どこがステージなのかも分からぬ有様ですが、さすがお客さんは心得たもの、ちゃぶ台でピアノを弾く鈴木さんを膝と膝がぶつかりそうに囲んで寺子屋の子達みたいに目を輝かせたり、隣室から漂ってきた砂時計のような煌めくプリペアードオルゴールの音色(見た目は全く電波塔の蟻地獄)に砂鉄のごとく吸い寄せられていったり、傍らでは黙々と須永さんが爆発に向けて画布の上に線を重ね、対照的に掛け軸のように静謐な爆発を秘めてアキラさんの絵が皆を見下ろし、隙を見て今回初お目見えのカシオトーンズは食堂の片隅で内気な老人達の世間話みたいにこっそり演奏を終え、どこから見ても姉弟としか思えない強い空気感のつながりを感じさせるmmmさんとアニュウリズム君の演奏に温かい心で聴き入るうちに、もじもじする靴下に目が釘付けになっていたりと、まさにこの文章の支離滅裂さが表すとおり、前後見境ない楽しみがそこかしこに転がっている一日でした。
ひとえにゲストの皆さんとお客さんのお陰ではありますが、今までにない不思議な一体感に包まれた今回のBroadcast、TV番組のような名前を冠しながら、どこまでいっても予定不調和にときめきを隠せないBlackBoxの心意気が、不覚ながら漏れ伝わってしまったというところでしょうか。
開き直ったりせずにあがき続けましょう。
来月はいよいよ1周年、どんな1日が待ち構えていることでしょう。
皆様、ご来場お待ちしております。

悪文担当 市野